非理法権天(ひりほうけんてん)
非道は道理に勝たず
道理は法度に勝たず
法度は権門に勝たず
権門は天子に勝たず
「非(非常識、理不尽な事)は理(理論整然とした行い)に敵のう事なし、理は法(法律や法則)に敵のう事なし、法は権(権力や権勢)に敵のう事なし、権は天(全てを司る天(神)の意思)に敵のう事なし、天に勝るものなし」
注釈:
人間として為すべき事は、天命によってのみ動くものであり、天を欺くことはできない。
勝敗の行方は天のみが知ることであり、われらは、武人として、命を懸け、全力を尽くすのみである。
南北朝時代に活躍した武将楠木正成を象徴する言葉として語り継がれている。
楠木正成親子は負け戦が明白な湊川の戦いで天の意に従い最後まで勇敢に戦い、あとに残る者の幸せを想い、国の先行きを思いながら自害して果てた。
昭和20年4月7日、「天一号作戦」の一環として沖縄に向かって特攻出撃した戦艦大和には、「菊水紋」と「非理法権天」が印された幟(大楠公戦闘旗指物)が戦闘旗の下に掲げられていたといわれる。