小麦(グルテン)について考える

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グルテン(gluten)とは

・小麦や大麦、ライ麦といった穀物から生成されるたんぱく質。これらに含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質が絡み合ってできたもの。

・小麦粉に水を加えてこねることで、グルテニンの「弾力はあるが伸びにくい」性質と、グリアジンの「弾力はないが粘着力が強くて伸びやすい」性質が結びつき、こねればこねるほど弾力と粘り気のある生地が生まれる。

・パンやパスタのもちもちとした食感はグルテンによるもので、ピザやお好み焼き、天ぷら、お菓子、カレールーといった小麦粉や小麦粉を使用した加工品に含まれるため、米を主食としている日本人であっても比較的口にする機会が多い成分である。

・グルテンが含まれる食品:

パン、パスタ、ラーメン、うどん、そば(つなぎとして、またはそば粉節約のため)

天ぷらやフライの衣

カレー(ルー)、加工肉、ソースなどの調味料

洋菓子類(ケーキ類やクッキー・ドーナツ・カステラ・パンケーキ、ビスケットなど)

 

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グルテンの問題点

・グルテンは人の消化酵素で完全に分解されにくく、分解途中の物質が炎症を引き起こして消化吸収機能の障害をもたらす可能性がある。

・一般的に「グルテン過敏症」や「グルテン不耐症」と呼ばれている「グルテン関連疾患」には、ある特定の遺伝子型(HLA-DQ2とHLA-DQ8)を持つ遺伝性の自己免疫疾患や、原因が未だ明らかでない症状が含まれる。

・腹痛、便秘、下痢などの消化器症状、消化吸収の低下による栄養失調、思考力減退や疲労感などさまざまな症状をきたすことがある。また片頭痛や月経前症候群、自己免疫疾患につながる可能性もあ指摘される。

・グルテンと同時に小麦にはアミロペクチンAという炭水化物も多量に含まれる。アミロペクチンAは他の糖質よりも消化・吸収が早いため、食後血糖値の乱高下を招き、体内で活性酸素が発生したり、炎症を惹起する

 

「小麦中毒・依存性」について

・グルテンは胃の中にある酵素や胃酸と反応して、いろんなポリペクチド(タンパク質)に分解され、「エクソルフィン」という麻薬のようなポリペクチドにも分解される。

・このエクソルフィンは体内に吸収されて、脳にあるモルヒネなどの麻薬の受容体であるオピオイド受容体に結合する

・その結果「多幸感」を感じるようになり、次第に「小麦依存性」を生じる。

参照:

https://izumo.u-shimane.ac.jp/campus/healthcenter/blog_cms/2016/7/14.html

 

 

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グルテン関連疾患

1)小麦アレルギー

・小麦は鶏卵、牛乳とともに“3大アレルゲン”のひとつ食物アレルギーの第3位に位置する重要なアレルゲンです(厚労省の研究班のデータでは約12%を占める)

・乳児期に発症した小麦アレルギーの3歳時点の耐性獲得率は63%

・乳幼児の即時型食物アレルギーの3大原因食物は「鶏卵、牛乳、小麦」ですが、学童期になると3大原因食物は「鶏卵、果物類、甲殻類」となり、鶏卵、牛乳、小麦は6割ほどに減ってきます。このことは乳幼児早期の原因食物が学童期に入る前に耐性を獲得していることを示しています。

・小麦は学童期以降(7~19歳)では8番目に位置し、5%程度となります。

小麦アレルギーの原因物質

・小麦のタンパクには「水溶性」のものと「不溶性」のものがあります。

「グルテン」は水・塩不溶性タンパクで、グリアジンとグルテニンで構成されています。米や他の穀物には含まれない成分であり、小麦特有のアレルギー症状に関与してきます。

・その1分画である「ω-5グリアジン」は成人の「小麦依存性運動誘発アナフィラキシー」の原因アレルゲンとして解析されましたが、「小児の即時型小麦アレルギー」にも強く関与することが証明されました。

 

2)セリアック病(Coeliac Disease:グルテン感受性腸炎)

・グルテンによって生じた自己抗体により、自身の小腸粘膜にダメージを与える自己免疫性疾患

・グルテンのグリアジン成分に対する感受性を原因とする遺伝性疾患で,同様のタンパク質はライ麦および大麦にも存在する。

・遺伝的感受性を有する者では,グルテン由来のペプチドエピトープが提示された場合,グルテン感受性T細胞が活性化される。炎症反応は,小腸粘膜の特徴的な絨毛萎縮を引き起こす。

・米国では113人に1人(1%)という高頻度で発症するため欧米では大問題となっているが、わが国では非常にまれである。

・小腸上皮cryptの過形成を伴い正常の絨毛形態が失われ“flat mucosa”を呈して、小腸の栄養素吸収機能が障害される。その結果下痢が頻回となり、多彩な栄養不良(鉄欠乏、葉酸欠乏、骨軟化、低蛋白)を呈する。

・また時々下痢をするだけの軽症から栄養失調となるやせ細る重症まで様々であり、また、20歳代に自然に治癒する症例もある。

・療法としては、グルテンを除去した厳格なグルテンフリーの食事であり、パンなどの小麦製品は禁である。

・グルテンフリー食は腸粘膜の回復につながり、下痢などの症状を改善し、ほとんどの人で合併症を発症するリスクを軽減する。逆にこの治療しないと、腸リンパ腫などの癌が生じ、早期死亡のリスクがわずかに高くなる可能性もある。

 

3)グルテン過敏症(不耐症)

・グルテンを消化する「酵素」欠損による

・非セリアックグルテン過敏症(Non-Celiac Gluten Sensitivity)とも言われ、セリアック病ではないけれど似たような症状が現れる

・小麦を食べて生じる消化器症状と日常の疲労感、集中力低下がグルテンを制限することにより改善する

・小麦(グルテン)を含む食事を2〜3週間控えることにより、多彩な症状が消失すれば、非セリアック・グルテン過敏症の可能性があります。

・アメリカでは人口の15%がグルテン過敏症であるといわれ

 

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参考:内閣府「食品安全委員会」のグルテンに関する見解

・「食品安全委員会」とは、食に関するリスク管理を行う厚生労働省や農林水産省から独立して、内閣府が食の安全について評価を行う機関として平成15年に設置された。

・およそ200人の科学者が所属していて、日本の「食」について、客観的かつ中立公正にリスク評価を行っている。

・食品安全委員会では、グルテンのリスク評価について、令和2年に情報を公開している

https://www.facebook.com/cao.fscj/posts/2549636621918887

・その中で「食品安全委員会も、医師の指導による場合などを除き、特定の成分を極端に排除したり、また逆に極端に摂取量を増やしたりするのではなく、規則正しくバランスのとれた食事に努めていただくことが健康のために重要であると考えています」としている。

 

 

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