Dr.Gawasoコラム:『その後、あの患者さんはどうなったのだろう・・』

整形外科医として勤務していた病院で担当した中年女性患者さん。

確か、婦人科癌の脊椎転移だったと思う。

腫瘍による脊髄圧迫で麻痺、疼痛が出現したため、整形コンサルトがあり、
たまたま私が担当した。

 

上級医に相談したと思うけど、ラジエーションするわけでもなく、
対症的除圧手術を提案するわけでもなく、
無理くりの説明で対症療法とし、有耶無耶に胡麻化してしまったと思う。

主治医にも申し訳ない。

 

「会って何といえばいいのか・・・」

病棟に往診に行くのが苦痛だったことを思い出す。

私は担当途中で病院を退職したので、最後まで担当することなく、

その後の経過は分からない。

 

上級医のせいにする訳ではないが、

知識、技能のない研修医は辛い。

放置ではなく、提言は欲しかったと、今改めて考えると思う。

もちろん、当時もっと勉強して、一端でも自分の意見が言えたらよかったのに、

と、当時の自分の不甲斐なさにも情けなくなる。

 

あの患者さんは当時、どう思っていたのだろうか?

痛みや、徐々に動けなくなっていく辛さ、

おそらく普通の家庭があり、子供さんもいたかもしれない。

 

総合診療医として、今なら違った対応ができるか?

今なら「患者中心の医療」の実践で、少しでも病いを共有し、癒すことができるのか?

 

その後、あの患者さんはどうなったのだろうか・・

 

 

 

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